システム分析とシステムアプローチ:ニカノロフ

С・П・ニカノロフ『システム分析とシステムアプローチ』

「システム分析」とは、産業、運輸、防衛、教育などの領域の発展における複雑な問題、および組織設計の問題を解決するための方法論として理解される。

システム分析は当初、機能的に類似した製品の集合から個々の製品を選び出すために適用された。しかしその後、そうした選択は、検討対象の製品が単なるサブシステムであり、単なる発展の一段階にすぎないような、より広い目標の枠内でしか行いえないことが明らかになった。こうして、生産システムあるいは軍事システムのますます大きな部分が研究の対象となっていった。システム分析の方法論は次第に、相互に関連した多数の問題を解決するために継続的に働く仕組みの基礎となった。システム分析の最も重要な機能は、課題とその解決の可能性とのあいだの結合の構造を定めることにあった。こうして見いだされた構造が、目標とその達成手段を選ぶ基礎となった。システム分析の方法論的な道具——その概念図式——は、なによりもこの機能を果たすために作られている。概念図式に表現された実践的経験は、ひとたび習得されれば、個人あるいはチームが問題を解決する行動の基礎となる。

システム分析の概念図式を規定した要因は、次のように考えると理解しやすい。この方法論の中心には、決定の代替案を量的に比較する操作がある。量的な評価は、比較される同等の質の代替案を、その有効性と所定の結果を達成する費用の観点から特徴づけるものでなければならない。量的評価の正しさは、有効性と費用に影響を与えるすべてがどれだけ十分かつ正確に考慮されたかに左右される。ここから「当の代替案に関係するすべての要素」を特定するという考え、すなわち自然言語では「あらゆる事情の包括的な考慮」と表現される考えが生じる。この定義によって特定される要素の複合体を、システム分析は「完全なシステム」と呼ぶ。

だが、この要素の複合体、この「システム」をどうやって特定し、ある要素が当の代替案に属するかどうかをどうやって確かめるのか。唯一の基準となりうるのは、当の要素が、その代替案の出力に至るプロセスに参加しているかどうかである。そうであるからには、プロセスという概念こそがシステム分析の中心概念となり、その周りに概念図式の全体が組み立てられる。

システムは、システム対象、その性質、およびそれらのあいだの関係を指定することによって定義される。システム対象とは、入力、プロセス、出力、ならびにフィードバックと制約である。

入力とは、プロセスの発生に先行するものである。入力とは、プロセスの過程で変化するすべてのものである、とも言える。プロセスへの参加は、変化の有無によって確かめられる。入力は入力要素からなる。場合によっては、入力要素は「作業入力」(「加工される」もの)とプロセッサ(「加工する」もの)である。

出力とは、プロセスの結果あるいは最終状態である。プロセスは入力を出力へと変換する。所定の入力を特定の出力へ変換しうる能力を、当の入力の性質と呼ぶ。

関係はプロセスの継起を定める。すなわち、あるプロセスの出力が、別の特定のプロセスの入力となる。システムのあらゆる入力は、当のシステムか別のシステムの出力であり、あらゆる出力は入力である。現実世界においてシステムを特定するとは、その入力、プロセス、出力を指定することである。あらゆるシステムはサブシステムからなる。あらゆるシステムは、なんらかのシステムのサブシステムである。現実世界のいかなる対象も、システム対象、性質、およびそれらのあいだの関係によって記述できると仮定される。

人工システムとは、その要素が人によって作られたもの、すなわち意識的に組織されたプロセスの出力であるようなシステムである。あらゆる人工システムには、役割の異なる三つの部分プロセスが存在する。主プロセスは入力を出力へ変換する。フィードバックは入力を変えることによって、実際の出力と望ましい出力との対応を保つ。制約処理のプロセスは、システムの出力と、その入力の消費者である後続のシステムがそれに課す要求との対応を保つ。

フィードバックのサブシステムでは、いくつもの操作が行われる。出力の標本が出力モデルと比較され、その質的・量的な差が特定され、差の内容と意味が評価され、差から導かれる決定が練り上げられ、決定を導入するプロセス(入力への作用)が形成される。制約処理のプロセスは、システムの出力を分析するその消費者によって起動される。このプロセスは、システムの出力を受け入れるか拒むことによって出力に作用し、またシステムの出力のモデルにも作用する。制約を反映した出力モデルは、システムの目標(機能)と、制約となる関係(機能の質)を定め、それらは制約処理のプロセスを通じて消費者の目標と調和させられる。

問題状況は、必要な(望ましい)出力と現存する出力とのあいだに差があるときに存在し、その差は症状として現れることがある。現存する出力は現存するシステムがもたらす。望ましい出力は望ましいシステムがもたらす。問題とは、現存するシステムと望ましいシステムとの差である。問題は、出力の低下を防ぐことでも、出力を増やすことでもありうる。問題の条件は既知のものを表す。問題の要求は望ましいシステムを表す。問題の解とは、現存するシステムと望ましいシステムとのあいだの「隙間」を埋めるシステムである。

問題を解くとは、変更された現存のシステムとあわせて望ましいシステムをなすようなシステムを構築することである。問題の解を見いだすプロセスの中心には、問題の条件、目標、解決の可能性を特定(解明)する操作を反復して行うことがある。これらの操作の結果は、条件、目標、可能性をシステム対象によって、すなわち関係とサブシステムの構造によって記述したものである。当の問題の条件、目標、可能性の関係とサブシステムの構造が既知であれば、特定は量的関係を定める性格をもち、その問題は量的問題と呼ばれる。条件、目標、可能性の関係の構造とサブシステムが部分的にしか既知でなければ、特定は質的な性格をもち、その問題は質的問題あるいは悪構造の問題と呼ばれる。

システム分析は、問題解決のために原理的に必要な機能の一覧を定める。それは次のものからなる。問題の検出、問題の緊急度の評価、制約(目標と制約となる関係)の定義、問題の解が望ましいものにどれだけ近づいたかを測る基準の定義、現存するシステムの分析、代替案の集合を構成する可能性の構造の決定、解の代替案の選択、選ばれた解への同意の確保、決定を下すこと(形式的な責任を引き受けること)、決定の実施、そして問題解決の結果の確定である。問題解決のプロセスの境界は、その実施の条件、目標、可能性によって定まる。

問題解決の機能の一覧を措定することによって、システム分析は組織を分析し設計する手段を与える。とりわけ、従属関係の階層構造をもつ組織は、その各部門に問題解決の機能を割り当てることによって、問題解決型の組織へ転換しうる。以上が、問題解決の方法論としてのシステム分析の基本概念の、最も一般的な形での姿である。