システム

システム理論とシステムアプローチ全体の中心をなすのがシステムという概念である。多くの論者がこの概念を分析し、形式化の度合いの異なるシステムの定義を練り上げてきた。定義とはシステムの言語的なモデルであり、したがってモデルの目的と要求が異なれば、定義も異なってくる。

科学文献には、一般的なものも個別的なものも含めて、システムの定義が数多く示されている。これらの定義は、科学、工学、社会、経済といった異なる活動領域を反映している。それに応じて、システムの定義には三つの異なる観点を区別できる。

  • システムを、相互に結びついた物質的対象の複合体とみなす観点。このアプローチは、自然の対象や物質的生産のプロセスを研究するのに都合がよい。
  • システムを二つの異なる要素からなるものとみなす観点。すなわち(1)物質的対象の集合と、(2)それらの対象の状態についての情報である。この区別は、物質的生産の管理にかかわるプロセスを記述する基礎をなす。
  • システムを純粋に情報的な存在、すなわち関係(結合、情報)の一定の複合体とみなす観点。このアプローチは、社会経済的な関係と管理のプロセスにかかわる問題で用いられる。

システムとは、研究あるいは設計の対象を、全体的で、相互に結びついた、複雑なもの——ただちに完全かつ網羅的な形で提示することも、目に見える形で示すことも、図に描くことも、数式や公式や方程式などによって記述することもできないもの——として特徴づけたいときに用いられる語である。

対象をシステムとして表現するさまざまな段階において、またさまざまな具体的な状況において、異なるシステムの定義が用いられうる。理解が深まり、より高い記述の水準へ、あるいは研究の別の段階へ移るにつれて、システムの定義は精密化されうるだけでなく、精密化されるべきである。

あらゆるシステムの性質が一般化される最も高い抽象の水準では、人間の活動の最も重要な二つの側面——現実の認識と、現実への働きかけ——に対応する、相互に補い合う二つのシステムの定義を与えることができる。

  • システムとは、研究と認識の課題において、対象の性質とそれらの関係が主体の意識に反映されたものである。
  • システムとは、設計、運用、管理といった目的のために、主体が対象の性質とそれらのあいだの関係を用いて対象と相互作用する方法である。