マネジメント

マネジメント(ロシア語では управление)とは——

  • 生物的、社会的、技術的といったさまざまな種類の組織されたシステムの要素であり機能であって、その固有の構造の保持、活動の様式の維持、そしてプログラムと目標の実現を保証するもの。
  • 被制御システムに求められる振る舞いを保証するために、そのシステムに及ぼされる働きかけ。
  • 掲げられた目標を達成するために、管理する主体が被管理対象の活動を組織する過程。
  • 主体が自らに、あるいは外部の対象や主体に対して、それらを変換し、あるいはその性質を変えることを目的として行う行為。

マネジメントとは——

  • プロセスとしては、「入力」の資源を「出力」の生産物へ変換することによって、掲げられた目標の達成を保証する管理上の行為の総体。
  • 科学としては、マネジメントの概念、理論、原理、方法、形式という形に組織された知識の体系。
  • 機能としては、人と経済主体の行動を方向づけ、望ましい結果を得るために行われる、目的をもった情報的な働きかけ。
  • 機構としては、社会システムの目標を追求するなかで、そのあらゆる資源の利用と調整を保証する構造と人の総体。

ほかにも多くの定義があり、そこではマネジメントが要素、機能、働きかけ、プロセス、結果、選択などとして記述される。主体によって遂行される場合、マネジメントは管理活動とみなすべきである。この見方は、その多面性を説明し、この概念へのさまざまなアプローチを調和させる。

マネジメントが管理機関によって遂行されるなら、その活動を遂行することは管理するシステムの機能であり、マネジメントの過程は(管理)活動の過程に対応し、制御作用はその結果に対応する。管理機関も被制御システムもともに主体である場合、マネジメントは管理される主体の活動を組織することを含む。

管理活動は、職業的な実践活動の一形態として、いくつもの一般的な特徴をそなえている。そのなかには、具体的な条件のもとでの人間の活動が一回かぎりで予測しがたいこと(能力と資源が限られているという制約を含む)、変化する条件へ適応する能力、目標を立てる能力、そして自己組織化と発展の能力がある。加えて管理活動には、いくつかの際立った特徴がある。

  1. 管理活動の主観性。管理活動は根本的に主観的である。いかなる活動も主観的である。それはつねになんらかの主体によって遂行されるからである。しかし管理活動においては、管理者の個人的資質、職業的経験、倫理的立場がとりわけ大きな意味をもつ。
  2. 管理する主体による自律的な目標設定は、管理活動に不可欠な特徴である。通常、管理者は自らの活動の目標だけでなく、被管理システムの活動の目標をも自ら定式化し、それらを課題へ分解し、その達成の道筋を考え出す。ただし場合によっては、管理者はシステムのより高い階層で定式化された目標を伝えるにとどまる。
  3. 結果の間接性。管理活動の直接の結果は、被管理システムに及ぼされる制御作用である。しかしこの作用は自己目的ではない。それは被管理システムに求められる振る舞いを保証するために行われる。管理活動の対象は、被管理システムの活動である。言い換えれば、管理活動の最終的な(間接的な)結果は、被管理システムの状態(その成果)である。マネジメントの有効性は、まさにこの結果によって評価される。
  4. 管理活動の創造的な性格。マネジメントは本質的に意思決定である。意思決定の過程を完全に形式化することはできない。そこにはつねに不確実な要因と創造がともなう。ただし創造は、法的、倫理的その他の規範によって、また資源その他の制約によって限られている。
  5. 制御作用に応じた被管理システムの振る舞いをモデル化し、予見し、予測する必要。
  6. 自らの活動、および自らが管理する主体および/または対象の活動の過程と成果に対する、管理する主体の責任。管理する主体は、自らの活動の直接の結果だけでなく、その間接の結果——被管理システムの状態とその活動の成果——にも責任を負う。
  7. 発展と適応。管理活動の際立った特徴は、管理する主体と被管理システムの双方が発展し、変化する外的・内的条件に適応する必要があることである。

組織のマネジメントシステムの機能を記述するには、マネジメントのサイクルという概念が用いられる。これは、マネジメントの過程を標準的な段階の反復される系列として記述するモデルである。今日までにマネジメントのサイクルのモデルは数十も提案されている。たとえば次のものである。

  • アンリ・ファヨールのサイクル。計画——組織——動機づけ——統制。
  • W・エドワーズ・デミングの PDCA サイクル。Plan——Do——Check——Act。
  • 情報収集——計画——実施——記録——統制——分析——調整のサイクル。

いかなる管理活動の根底にも、「記述と測定」のための尺度と指標、そして量的なモデルを全面的に用いる、切れ目のないマネジメントのサイクルという考えがある。主眼は、活動の量的に表される成果を高めることに向けられた方法、道具、決定に置かれる。成果マネジメントのシステムのあらゆる構成要素は、マネジメントのサイクルのモデルにおいて、具体的な量的記述、指標、モデルの体系を通じて表される。

システムアプローチは、対象と管理の構造を、一般から個別へと分析する。それは、組織を要素のシステムとみなし、その最適な発展を保証するために目標と課題を立てることを提案する。

マネジメントへのシステムアプローチの主要な要素。

  • いかなる問題の解決も、目標を明確に定式化することから始まる。
  • いかなる問題や課題も目標ツリーとしてとらえ、個々の決定を最終的な目標に結びつけるべきである。
  • 目標を達成する道筋を定める際には、代替的な選択肢を検討しなければならない。
  • 個々のサブシステムの目標が、システム全体の最終的な目標と矛盾してはならない。

システムアプローチの立場からすれば、マネジメントは二つの層をもつ複合的な過程である。すなわち運用上の制御(調整)と、戦略的な方向づけである。運用上の制御の課題は、システムの一定のパラメータを所定の水準に保つことにある。戦略的な方向づけは、システムのその所定の状態がどうあるべきかを、まさに定めることからなる。戦略的な方向づけは設計と計画を包含し、運用上の制御は日々の監督とそれにともなうあらゆる機能を包含する。

複雑な確率的システムの機能を研究するには、それを管理するサブシステムと管理されるサブシステムとして表すのが有用である。管理するサブシステムは、管理されるサブシステムのパラメータを設定したうえで、フィードバックの原則にもとづいてそれを所定の水準に保たなければならない。

フィードバックにもとづく調整は、特定の種類の外乱だけでなく、いかなる外乱をも補償することを保証する。このようにしてシステムへの外乱の影響は、その原因が一般には未知である場合でさえ補償される。これは、詳細な記述になじまないきわめて複雑なシステムを相手にするときにとりわけ重要である。

システム分析はシステムを、戦略的な目標を達成するために結び合わされた構成要素の集合と定義する。ここから、そのシステムが達成のために創設された目標あるいは課題が導かれる。この目標は戦略的なものであるから、システムはそれを追求するために多くの戦術的な課題をも解かなければならない。

管理者のなかに、個々の特定の問題に努力を集中したいと願う者がいるのはよく理解できる。彼らはそうした個別の事柄の範囲を広げようとし、多くの部門の成果を統合する課題はほかの人に委ねる。マネジメントの統合の問題こそが彼らにとって中心的であるにもかかわらず、である。指導の本質は調整にあり、いま述べたような総合の過程があらゆる階層の管理者にとって有用でありうることは明らかである。管理者が個々の専門領域に注意を集中すると、自らの企業の全体的な目標と、より大きなシステムのなかでの自らの役割を見失う危険がある。「全体像」を明確に保っていれば、彼らはより効果的に自らの責務を果たせるだろう。

全体的なシステムアプローチを無視することは、意図的である場合もある——部門や機能単位の長が、企業全体の成果にとっての自らの行動の意義を過大に評価しがちだからである。ときにそうした軽視は意図せざるものであり、意思決定者が自らの決定が企業活動のほかの領域にもたらす帰結を見通せないことから生じる。マネジメントにシステムアプローチを適用する要点は、一体的な全体をなすサブシステムと相互に結びついた部分のネットワークについて、明確な像を得ることにある。

システムアプローチの考えは、システムとは何かを明確に理解することなしには成り立たない。システムとは、動的に相互に結びついた要素の一体的な複合体である。システムはその環境との統一においてのみ考察しうる。通常、いかなるシステムもより高次のシステムの要素であり、システムのいかなる要素も、今度はより低次のシステムとしてみなしうる。

システムの全体性とその要素の相互の結びつきは、システムの目標との関係においてのみ定まる。同時にシステムを現実の対象と同一視してはならない。いかなる対象もさまざまな観点から検討でき、選ばれた観点に応じて多くの異なるシステムを特定でき、それぞれが対象の機能の一側面を反映するからである。個々の要素だけを検討することによって複雑システムの働きを研究することはできない。複雑システムは創発性——どの個々の要素にも本来そなわっていない性質をシステムが示す能力——という性質をもつからである。

システムアプローチとシステム理論を用いたことによって、組織とあらゆる管理の階層を、それを構成する部分の統一体として、また外部世界のグローバルなシステムのなかで見ることが可能になった。同時に、それぞれの時代にマネジメントの実践と理論を支配してきたほかの学派の考えとアプローチを統合することも可能になった。システムアプローチは、厳密科学、工学、自然科学、人文科学の方法と成果をマネジメント理論にもたらした。

しかしマネジメント理論へのシステムアプローチの最も重要な寄与は、新しい思考の様式を形づくったことである。システムアプローチによって管理者は、自らが率いる組織の外部世界における位置を定め、いかなる管理構造も開放系であること、したがって組織のマネジメントを閉鎖系のように——すなわち内部の管理過程への外部環境の影響を考慮せずに——組み立てることはできないことを理解できるようになった。環境がマネジメントの根本的な変数とみなされるようになったのは、システムアプローチの登場によってはじめてである。

マネジメントの理論と実践にシステムアプローチを適用した重要な成果は、さまざまなマネジメントの学派の考えと成果を統合したことである。そのためには、それらを別々のシステムとしてではなく、マネジメント理論のなかのサブシステムとして扱うだけで足りた。これによって、それぞれのアプローチの限界とその利用の可能性がただちに明らかになった。とりわけマネジメントの各学派は、組織のただ一つの側面(サブシステム)——人、構造、マネジメントの方法など——に努力を集中していたからである。行動科学の学派はマネジメントの社会的な領域を研究した。科学的管理法の学派と量的方法の学派は、主として技術システムのマネジメントを研究した。組織のあらゆる構成要素を一貫した全体へ結び合わせることを可能にしたのは、システムアプローチだけであった。

システムアプローチによって、組織を開放系として表すことが可能になった。その「入力」は人的、物的、財務的、情報的な資源であり、それらはマネジメントのアルゴリズム、アプローチ、方法、道具、技術に応じて、達成された目標と組織の成果(利潤、生産量と製品品質の向上、業績指標の改善、物質的な誘因、労働生産性の向上など)という形の「出力」へ変換される。