モデリングのプロセスは、あるモデルの類から別の類への移行とみなしうる。モデルは便宜的に三つの大きな類——認知モデル、内容モデル、形式モデル——に区別される。これらは互いに切り離して考えることのできない、相互に関連した三つのモデリングの水準をなす。モデリングの水準どうしが影響し合うのは、モデルに本来そなわる潜在性という性質と結びついている。どのモデルを作っても、研究対象についての新しい知識が生まれ、それがさまざまな水準におけるモデリング対象の概念と見方の再評価と精密化へ導く。この事情は今度は、対応する内容モデルと認知モデルの見直しをもたらし、研究対象のモデリングのあらゆる水準が螺旋を描いて発展することを保証する。
原型の対象を観察するとき、研究者の頭のなかに対象の心像——その理念的なモデル——が形をとる。科学文献では、これを認知(心的)モデルと呼ぶのが通例である。そうしたモデルを形づくる際、研究者は通常、特定の問いに答えようとする。したがって、より簡潔で引き締まった記述を得るために、対象の無限に複雑な成り立ちから非本質的なものがすべてそぎ落とされる。認知モデルを自然言語で表現したものを内容モデルと呼ぶ。
認知モデルは本質的に主観的である。研究者がそれまでの知識と経験にもとづいて構築するからである。これらのモデルは記号的な記述を通じてしか理解しえない。認知モデルと内容モデルは等価ではない。前者には、研究者が言い表せない、あるいは言い表そうとしない要素が含まれうるからである。同時に、内容モデルが別の人によって定式化されたものであったり、集団の仕事の産物であったりする場合には、その解釈、理解の水準、信頼の度合いが解釈者によって大きく異なりうる。内容モデルはしばしば技術的な課題の記述と呼ばれる。
機能上の目的と課題によって、内容モデルは記述的モデル、説明的モデル、予測的モデルに分けられる。
- 記述的モデルとは、対象のあらゆる記述である。
- 説明的モデルは、なぜそれが起こるのかという問いに答える。
- 予測的モデルは、対象の将来の振る舞いを記述する。注目すべきことに、予測的モデルは必ずしも説明的な要素を含まない。
概念モデルとは、モデリング対象の研究にかかわる主題領域の概念と表象を用いて定式化される内容モデルである。
より広い意味では、概念モデルとは特定の構想あるいは見方にもとづく内容モデルと理解される。概念モデルには三つの型が区別される。論理意味的モデル、構造機能的モデル、因果モデルである。
- 論理意味的モデルは、関連する主題領域の用語と定義を用いて対象を記述し、既知の論理的に整合するあらゆる言明と事実を組み込む。これらのモデルの分析は、論理的な推論と、当該領域に蓄積された知識に依拠する。
- 構造機能的モデルは、対象を個々の要素あるいはサブシステムへ分解された一体的なシステムとして扱う。構成要素は、従属関係、論理的な順序、課題遂行の時間的な順序を定める構造的な関係によって結ばれる。これらのモデルを表すには、図式、チャート、マップがよく用いられる。
- 因果モデルは、対象の振る舞いを説明し予測するためにしばしば用いられる。これらのモデルが主として向けられているのは、(1)研究対象を構成する要素間の主要な相互関係を明らかにすること、(2)一定の要因の変化がモデルの構成要素の状態にどう影響するかを定めること、(3)モデルが全体としてどう機能するか、そして研究者の関心を引くパラメータの動態を適切に記述しうるかを理解することである。
形式モデルとは、概念モデルを一つあるいは複数の形式言語——たとえば数学理論、専用のモデリング言語、プログラミング言語——によって表したものである。人文科学では、モデリングは概念モデルの練り上げで終わることが多いのに対し、自然科学では通常、形式モデルの構築が可能である。
研究における内容モデルと形式モデルの重要性は広く認められているが、認知モデルの役割は、その主観性と思考過程の暗黙性のためにしばしば過小評価される。それでも認知モデルは、操作者あるいは意思決定者が対象やプロセスを制御するにあたって自らの心的な表象に頼る場面ではとりわけ重要である。この型のモデルは社会科学においても大きな役割を果たす。
数理モデリングとは、対象が数学の言語によって記述され、数学的方法によって研究される、科学的・記号的・形式的なモデリングの一形態である。
科学研究のために作られた数理モデルは、与えられた初期データにもとづいて、モデル化される対象や現象のパラメータの値を定めることを可能にする。したがってそうしたモデルの核心は、入力パラメータの値を出力パラメータの値へ写すことにある。この見方に立てば、数理モデルは数学的な作用素とみなしうる。作用素は広く、関数、代数方程式・微分方程式・積分微分方程式・積分方程式によって表される写像、アルゴリズム、規則の集合、あるいは入力の値から出力パラメータを定めることを容易にする表として定義しうる。
数理モデルを作用素という概念によって定義することは、そうしたモデルの分類を組み立てるという観点からより建設的である。それは今日存在する数理モデルの多様性を余すところなく包含するからである。
物理実験と比べた数理モデリングの利点。
- 経済性(とりわけ現実のシステムの資源を節約できること)。
- 仮設的な対象——すなわち自然界に実現されていない対象——をモデル化できること。
- 現実には危険な、あるいは再現しにくい動作条件を模擬できること。
- 時間の尺度を変えられること。
- 多面的な分析が容易であること。
- 一般的な法則性を明らかにしうることによる、より高い予測力。
- 用いられるハードウェアとソフトウェア(プログラミングシステムと汎用のアプリケーションソフトウェアパッケージ)の汎用性。
情報モデルとは、当の分析にとって本質的なパラメータと変数、それらのあいだの関係、そして対象の入力と出力を記述する情報の形で表された対象のモデルであり、入力値の変化についての情報をモデルに与えることによって、対象のありうる状態を模擬することを可能にする。